起きてるなら夢は叶えるもの
少し前の話になりますが、妹のシーちゃんと一緒に【えんとつ町のプペル】を見に行きました。
キングコングの西野亮廣さんが原作の絵本【えんとつ町のプペル】の映画版で、昨年のクリスマスに公開されたこの映画。
テレビやYouTubeのCMで気になってはいたのですが、映画館がバスで行く距離にしかないのと、ご自慢のめんどくさがりのおかげで、なかなか見に行く機会がありませんでした。
そんなときシーちゃんが「お姉ちゃんが誕生日の日休みだから映画でも行く?」と誘ってくれたので、願ってもない機会だ!ということでやっとみに行くことができました。
ただ、問題が一つありました。
以前にもシーちゃんとは2人で見に行くことがあったのですが、なんとこれがハズレばかり。
せっかく2千円近く払って見たのに、なにを見せられたんだという感想を2人ともそのハズレ映画に持っていました。
だから、今回はどうだ…?と思っていたのですが。
今日はそんな日のお話です。
*
「泣いたわー。感動ポルノって言われてるだけあって泣けたわー!」
興奮気味でセバスチャンに映画の感想を話すパンダ。
どうやら、シーちゃんと見にいった【えんとつ町のプペル】の映画についての感想を言っているようだ。
「えんとつ町のプペルって、煙のせいで空の星が見えないから、星が空想上のものって認識の世界が舞台なの。そこで、亡きお父さんの意思を継いで、星を見ようとしている主人公ルビッチと、ごみから生まれたゴミ人間のプペルが星を見に行くためのストーリーなのね。みんなにどんなにバカにされても、気味悪がられても2人は一緒にいるの。最後のラストシーンの映像が綺麗な上に迫力がすごくて、あれは映画館で見て正解だったよ。」
そんな感じで映画のパンフレットをパラパラめくりながら感想を語るパンダ。
「そう言えばシーちゃんが私より感化されて、原作者の西野さんの本買ったんだよね。絵本と一緒に。ゴミ人間って本なんだけど、そこに“えんとつ町のプペルは、僕の人生をベースとして書きました”みたいなことが書いてあったんだよね。パンフレットにも書いてあった。」
そう言ってパンダはパンフレット後方のページを開いた。
確かに“「えんとつ町のプペル」は僕自身の物語でもあります。”と書いてある。
「確かに西野叩きされてるところテレビで見たことあるわね。」
「それでシーちゃんも言ってたんだよね。職場の上司に言われたことらしいんだけど、どんなに頑張ってやっていても、バカにされたり軽蔑されたりするって。それが前例のないことだったら余計にそうで、でも、最後に頑張った人が絶対に勝つ。頑張った人だけが必ず結果を出すんだって言われたって。」
そこまで聞いてセバスチャンが何を言わんとしているか分かった。
「自分の夢、叶えたくなった?」
「…まあね。」
パンダは高校生の時、夏目漱石の【こころ】という作品を読んでから、こんな最高傑作が存在するのかと衝撃を受け、以来、ぼんやりと小説家になりたいという夢があった。
その小説のネタはちょっとずつ携帯のメモフォルダに貯めている。
でもパンダは看護師。しかも、看護師の仕事に自信を無くしかけてる看護師。
まずはその本業となる看護師の仕事も一人前に出来てないのに、小説家になりたいなって…と自分で思っていることを、セバスチャンはもちろん知っていた。
「ほっぺたつねってみて。」
「はい?」
いきなりのバイオレンスな要望に、疑問の表情を隠せないパンダだが、セバスチャンから「いいから。」と言われて、右頬を自分でつねってみる。
「痛い。」
「じゃあ、起きてるわね。起きてるなら、夢は叶えるものよ。」
そう言ってセバスチャンはニコッと微笑む。
「別に看護師として一人前になる前から、小説書いててもいいじゃない。看護師の仕事は与えられたことをきちんとしておけば誰も文句は言わないし。それに、小説を書くことと、看護師として一人前になることは別の話でしょ?」
「そ、そんなもん?」
「そんなもんよ。せっかくアイデアもたくさんあるんだし、自分が面白いと思ったことをそのまま誰にも見せずに腐らせるのと、恥を忍んで、世の皆さんに見ていただくのと、どっちが後悔のない人生でしょうね。」
後悔のない人生。夢を叶え、街のみんなに希望を与えたプペルとルビッチに自分を重ねる。
「書いてみようかな。」
そんな一言を呟いたパンダの目線の先には、“信じていれば、世界は変わる”という文字が2ページにわたって大きく書いてあった。
*
以前、「二足の草鞋を履く」という記事でも作家になりたいという夢があることを書いたことのある私ですが、今回の映画を見て、さらに夢を叶えたいという思いが強くなりました。
どうやら私は、見た映画に影響されやすいようです。
夢は寝ている時は見るものです。
夢を見ているときは楽しいし、自分の思い通りに行動することができます。
でも、夢から醒めて仕舞えば、それは幻想に終わり、いずれ記憶の中から崩れ落ちてしまいます。
いつまでも自分の中で夢を持ち続けるには、夢を叶えるしかありません。
夢を叶えることができれば、その夢は現実になり、その現実からまた新しい夢を見つけることができます。
夢に向かって走りましょう。
いつか現実となるその時まで。