泣き虫パンダと慰め役のセバスチャン

不器用な新人社会人が世の中を生き抜くための処世術

間違い探しはお手本がないと始まらない

この間、必要書類をコピーするためにスーパーのコピー機を利用したら、コピーしている間のミニコーナーとして間違い探しがあっていました。

 


お手本の絵は可愛らしいクマが描かれていて、右の間違いとして出されてる絵には「3箇所左の絵と違うところを見つけよう」と書いてありました。

 


まあ、ちょっとした間を繋ぐための間違い探しなので、簡単も簡単。

靴の色が違う、咲いてる花の数が違う、帽子をかぶってるかぶってないの3箇所の間違いをすぐに見つけることができました。

 


簡単は簡単なんですけど、やっぱり3箇所全部見つけたときの爽快感はしっかりあるんですよね。

私がお子ちゃまなんでしょうか?

 


さて今日はそんな間違い探しについてのお話です。

 

*


パンダの新しい職場での最初の1日が始まった。

と言っても、初日なのでオリエンテーションをしてもらってから、先輩の後ろをひたすらついていく、いわゆるシャドウ研修をして1日を終えた。

 


「どうだったの?」

家に帰ってきてセバスチャンが問う。

「一緒につかせてもらった人も優しくて、師長さんも副師長さんも丁寧に優しく教えてくれて、あー早くこの期待に応えられるようになりたいなーって思ったよ。」

1ヶ月の無職ニート期間で、自分の思ったよりも遥かに体力がなくなってた自分に愕然としながらも、必死に先輩についていったとパンダは、嬉しそうな且つ少し疲れた表情でセバスチャンに話すパンダ。

「ただ、やっぱり初めてのところだからしょうがないんだけど、全然動けなくて。

もちろん初日から即戦力になろう!なんて大それたことは思ってないけど、あ、今自分すごい邪魔になってる。とか、次の動きが掴めてなくて、無駄にキョロキョロしちゃったりして、何やってんだ自分。って思うことがめちゃくちゃあった。」

その職場で新人看護師とはいえ、やっぱり新社会人としての新人看護師ではないパンダ。初日で動けないのは当たり前と分かっていても、どうしても、悔しい思いが出てきてしまう。

「何から早く動けるようになりたいなってのが今の気持ちかな。」

そんなパンダの話を聞いて、セバスチャンはこう答えた。

「その気持ち半分正しいけど、半分大間違いだわ。」

大間違いなら、もう半分越してるじゃん。と思ったパンダだが、セバスチャンの言葉の真意を聞くために黙っていた。

「あなた間違い探しってお手本見なくても出来る?」

「いやできるわけないでしょ。お手本見なかったら、何が間違ってるか分からないじゃない。」

お手本見ずに間違っている絵だけを見るということは、それはただ絵を見ているだけだ。

「でしょ?でも、早く動けるようになりたいって気持ちは大袈裟に言っちゃうと、間違い探しのお手本を見ずに、間違ってる方の絵から先に見ようとしてるのと一緒のなのよ。」

そんなセバスチャンの言葉に、パンダは「と言いますと?」と先の言葉を求める。

「だから、お手本をちゃんと見てないと何が正しいかわからないままでしょ?間違ってる絵だけみて、過去の自分の経験と記憶を辿って、勘でこれは正しい、これは間違ってるって決めつけて動こうとしてるとしてるってこと。これ、本当の間違い探しなら別に変な楽しみ方で終わるけど、仕事、しかもあなたみたいな医療の仕事でこんなことしてたら大問題になるってちょっと想像したらわかるでしょ?」

そう言われてパンダはやっと自分の気持ちが逸り過ぎていたことに気づく。

「今のあなたは、間違い探しのお手本の絵を見ている段階なのよ。だから、早く動けるようになりたいって思うよりも、何が正しいか、何が間違ってるかを見極めていく方が先。お手本の絵をある程度しっかり叩き込んでから、間違いの絵をみて間違いを見つけていく。これが新しいところに行ったときの基本よ。」

 

*


新しいところに行くと当たり前ですが、全く動けません。

それは分かってるのに、どうしても悔しい思いをしてしまい、何か動きたいと思ってしまいます。

これは私みたいな社会人じゃなくても、学生さんが初めて部活に入った時や、社会の現場にきたときもそうではないでしょうか?

 


この答えを、私の新しい上司である副師長さんが答えてくれました。

それは「他の人の目が気になるから。」

こんなに動いてない金魚のフンの自分を周りの人はどう思ってるんだろう?イライラしてないだろうか?大丈夫だろうか?と恐怖心を無意識のうちに抱いてしまってるから。だと。

 


人は知らないことに対して恐怖心を抱きやすいそうです。

初めて会うスタッフのことなんて何も知らないから、何を思ってるかがわからなくて恐怖心を自分の知らないうちに抱いてしまってる。

 


だから、早く動けるようになりたいし、動けない自分が悔しいのです。

 


しかし、実際そんなに怖い人なんていません。

初日から動けないからって、チッ使えない奴。と思う器の狭い人もいません。

多分。

中に入るかもしれませんが、そんな人は上司に相談して近づかなければいい話です。

 


まずは、根拠のない恐怖心を押さえて、堂々と正しい絵を見ましょう。

正しい絵を叩き込まないと、いい仕事は絶対にできませんから。