泣き虫パンダと慰め役のセバスチャン

不器用な新人社会人が世の中を生き抜くための処世術

悲劇のヒロインは降格ヒロイン

今現在上映中の【鬼滅の刃 無限列車編】

すごい人気ですよね。

コロナ禍でも異例の大ヒットで、日本の映画興行収入第2位!

先日タイでの上映もスタートしたみたいです。

 

さて、そんな鬼滅の刃が目指す第1位の座ですが、今その1位の座に君臨しているのはどんな作品でしょうか?

 

言わずと知れた宮崎駿監督のジブリ作品【千と千尋の神隠し】ですね。

 

私はこの作品が大大大大大好きで、この作品に出てくるハク様が好きで、大好きが故に、夏目ハクと自分の名前にしてるくらいです。

 

そんな千と千尋の神隠しですが、ヒロインは題にもある千尋

 

この作品は意気地なしで、ドジで間抜けな少女千尋湯屋での出来事を通して成長する物語です。

 

涙と感動を呼ぶ素敵なヒロインとなった千尋ですが、今日はそんなヒロインに関するお話を綴っていきます。

 

*

 

今日のパンダは上司から言われたことに傷つき、泣きながら帰途に着いていた。

「わ、私の…、みみミス…じゃないの、にー…あんな、せめ、責められて…さあ…、せ、せめ、て…注意…ってい、言うなら…もっと違…う言い方、す、すれば、良いい…のに…。」

泣き過ぎてなんて言ってるかわからないが、とにかくガラスのハートをバリンとやられた様子のパンダをよしよしと慰めるのがセバスチャンの役目である。

「…。」

ところが今日のセバスチャンはどうやらちょっと思うところがあるらしい。

「そう言えばこの前も、頑張って作った資料を『文章が意味不明だからやり直し』って理不尽な理由でつき返されて泣いてたわね。その前は、せっかく指示を仰いだのに『自分で考えて。』って言われて泣きそうになったでしょ?」

「…へ?…い、今…そそそのはは話…し、するひ必要う…あ。ある…?」

「本当、悲劇のヒロインよね。あなた。」

悲劇のヒロイン、それはアニメや漫画などで主人公の女性が様々な不幸に見舞われる時に使われる言葉だが、セバスチャンはパンダに対してそうだと言いたいらしい。

「悲劇のヒロインって可哀想だし、同情したくなるのよね。それに、不幸な女性ってどこか放って置けないから色んな人が助けに来てくれるの。」

そこまで言うと、セバスチャンは泣いてるパンダの前に立ってこう言った。

「でも、それって現実世界じゃ最初のうちだけよ。」

「…え?」

「いつまでも嫌なことがある度、私って可哀想、世界一不幸だ、なんてメソメソしてたらその内みんな飽きてしまうわよ。折角の涙も安っぽいものになるの。涙は女の武器とは言うけど、希少な価値があるものこそ強い武器になるの。いつでもどこでも流す涙なんか弱過ぎて使い物にならないんだから、すぐ興味なくなるに決まってるじゃない。」

セバスチャンの冷ややかな表情と、ストレートに放たれたその言葉は、パンダの涙を止めるのに十分な威力を持っていた。

「アニメでも、漫画でも、すぐに人質になるヒロインより、主人公がピンチな時に助けに来る女性キャラの方が読者の人気は高いじゃない?なにかピンチに陥った時、すぐ主人公に頼ろうとするヒロインよりも、自分の力でなんとかしようとしてる子の方が健気で可愛く思えるでしょ?ヒロインの座にあぐらをかいてメソメソしてたら、あっという間にその座から降格させられること間違いなしね。」

社会で生きていると確かに悲しくなって泣きたくもなる日があってもおかしくない。

しかし、必要以上に「自分って可哀想」と涙を流し自分の世界観に浸って周りを振り回す、というのはいかがなものか。

そうセバスチャンは言いたいのはだった。

「嫌なことがあったら、その悔しさをバネに前に進み続けるの。涙を流して立ち止まってちゃダメ。少しでも良いから、歯を食いしばって一歩を踏み出すの。その姿をみてやっと皆応援したくなるんだから。涙を流すのは自分が何かを成し遂げた時。その時涙ほど美しく、人々の心を動かす最強の武器になる涙なんてないんだから。」

「…。そうだ、ね。」

「せっかく可愛い顔してんだから涙をこぼすより、笑みをこぼしなさい。」

泣き顔でぐちゃぐちゃだったパンダの顔にちょっとだけ笑顔が戻った。

 

*

 

よく涙は女の武器といいますが、武器もあまり使いすぎると耐久性がなくなり使い物にならなくなってしまいます。

 

独りよがりの自分に酔いしれるためにそんな貴重な武器を無駄遣いしてしまっては、せっかくのあなたの魅力も台無しです。

 

強く逞しく、みてる側に涙を流させるほど美しい姿がヒロインの絶対的必要条件。

 

さあ、涙を拭いて、前に進みましょう。