泣き虫パンダと慰め役のセバスチャン

不器用な新人社会人が世の中を生き抜くための処世術

小さな歯車だって錆び取りは必要

今日から私が前の職場を辞めるまでに至った日々の脳内の会話を綴っていこうと思います。

 

*

ある日いつものように仕事にいく準備をしていたパンダだが、無意識のうちにこんなことを呟いていた。

「泡になって消えたい。」

その言葉をセバスチャンは聞き逃さなかった。

鞄を持って玄関に向かうパンダの前に、この先通すもんかと言わんばかりのすごい剣幕で立ちはだかった。

「休みの連絡をいれなさい。」

「え?なんで?別に体調万全だよ。」

「やっぱり自分で自分の言ったことに気づいてないのね。いいから、今日は休みなさい。」

「でも…。皆んなに迷惑かかるし、おか…。」

「聞こえないの?やーすーみーなーさーいー!」

あまりのセバスチャンからの圧力にたじろいだパンダは、半ば強制的に職場に今日は風邪気味なので休むと連絡をいれた。

「これでいい?」

「…ねえ、さっき自分が言った言葉覚えてる?」

「泡になって消えたいってやつでしょ?そんなのよくあるじゃん。学校に行きたくないから学校爆発しろとか。」

「仕事行きたくないとか、今日行くのだるいなーとか誰だってあるけど、自分の存在を否定し始めてるのに、それに自分で気付かずに無理やり仕事に行こうとしてるところがまずいのよ。それに、私に言われて気づいた時も大したことないって自分の発言に目を瞑ったでしょ?」

ハッとするパンダ。

「責任感があることはいいことだし、こんな状況でもやる気があるのはすごいことだけど、まずは自分が疲れていることに気づかなきゃ。特に心が疲れてしまった時はそう。身体は少し休めば元に戻るけど、心は一度壊れると2度と元には戻らないわ。人生長いんだからちょっとくらい休憩したって天罰は降らないわ。」

「そっか。ちょっと頑張りすぎたかな。」

 

*

 

 

この時はまだ今日は休んで、また明日から頑張ればいいと思って辞める意思はありませんでした。

 

でも、この休みの時に自分の気持ちに改めて向き合えたことが、徐々に辞めると言う決断を私にとってより近いものにしてくれたと今となっては思います。

 

働いていると時に人は、自分は社会の歯車の一部なのだから休まず動かないといけない、と思い込んでしまいます。

奨学金の返金や、カードの支払いその他諸々のお金の心配もありますし。

 

しかし、歯車は錆びてしまってはうまく動きません。

錆びついた歯車では、大事なお金は生み出せません。

自分の存在が否定的になった時は心が錆び付いてきた時。

その錆を取るには安心できる場所で一度立ち止まり、錆を綺麗に取り、汚れを洗い落として、ゆっくり戻ればいいんです。