泣き虫パンダと慰め役のセバスチャン

不器用な新人社会人が世の中を生き抜くための処世術

言われているうちが華

既に仕事を辞めている私ですが

今日からは、まだ働いていた時期のパンダとセバスチャンのやりとりを載せていきます。

 

大変未熟者の私ですので、新人特有の反骨精神が鳥肌ものですが、自分の反省としてここに残して行こうと思います。

*

パンダが今日も仕事で言われた指摘についてセバスチャンに愚痴っている。

「本当に細かいことをよくもまあいちいちネチネチネチネチとさー別に仕事が滞るわけじゃないし黙って直してくれればいいのに。ていうか、他の人はそこまできっちりしてないのになんで私ばっかり言われるんだろ?新人だから?」

よっぽど悔しかったのか、パンダは話始めてから一回も息継ぎすることなく、一息で自分の思いをぶつける。
「新人の時って一つ行動すれば1指摘される、みたいなとこあるからねー。」

「あと、この前は綺麗に並べなきゃいけないものもぐちゃぐちゃだったし流しを使ったあとびちゃびちゃのままにしておく人もいるのよ?他には物出しっぱなしで私が直したし!…こんなにまわりの人だってできてないのに私だけこっ酷く言われるなんて不公平よ。」

ここぞとばかりに周りの先輩の指摘や不満をあれや、これや話すパンダ。

「確かに自分はどうなの?って思うかもね。」

クシャッと笑うセバスチャンからの同意にパンダは安心した。

「じゃあ、その人たちのできてないことってお互い指摘し合ってるの?」

「え?あ、いや…。もうそれでずっとやってるし、皆んな長いから誰も指摘しないけど。」

「でしょうね。もう今更お互い細かいこと指摘しようなんて人いないわよ。先輩、後輩の関係だってあるでしょうし。それに慣れてくると誰でもちょっとずつ手を抜いていくのよ。無意識にね。でも、それに気づけてない自分ってどう?」

「自分ができてないことに気づかないまま、経験を重ねていってるってこと?」

「すごく滑稽だと思わない?コントだとしたら大ボケ。観客皆んな満点大笑いする場面よ。」

皆、出来てないのに。出来てない人を見て影で笑ってる。

そんなことを皆、知るよしもない。

「言われているうちが華なのよ。 自分はできてないって気づけるし、とんだそんな大ボケ野郎にもならずに済むんだから。それに、他の人ができてないからって自分ができなくていい、ってことにはならないわ。指摘された時はムッとくるかもしれないけど自分ができてないうちはグッと堪えなさい。」

先程のセバスチャンの笑顔にちょっとでも安心したパンダは、自分で自分の浅はかさを恥じ俯く。

「そうだよね、私大ボケ野郎になるとこだったよ。」

「それに気づかせてもらった時点で勝ちよ。そして、周りがそんなにできてないなら逆に好都合でしょ?あなたがその指摘されたことをちゃんと直したら、すぐ周りよりも高い評価を受けることができるんだから。」

「なるほどね、わたしはちゃんとするけどあなたは?って感じでね。」

「それは鼻につくわ。嫌い。」

「そんなー。」

 

*

こんな感じで私は周りもできてないのに、どうして自分ばかり言われるのは何故だろうと、身の程知らずに怒っていました。

 

あの人はこれができてない。

誰々さんのやり方は基本と全然違う。

 

それだけ周りのことになると気がつくのに自分のことになると途端にできなってしまうのは、それだけ自己評価が高く自分を正当化し、客観視できてなかったのだと思います。

 

確かに、指摘を受けた時は誰だって落ち込んだり、反発したくなるものです。

若い時なんて冒頭でも言ったような、特に反骨精神が強い訳ですから余計に周りに反抗したくなります。

 

しかし指摘されると言うことは、それだけ注目されてる、ということ。

注目されてると言うことは、それだけ期待されている、ということでもあるわけです。

 

そのことにいち早く気付き、感謝の気持ちをもって指摘を自分の中で素直に受け入れることができた時、人は成長するのだと私は今更ながら気づいたのです。