泣き虫パンダと慰め役のセバスチャン

不器用な新人社会人が世の中を生き抜くための処世術

参りました。

負けず嫌いという言葉は、長所と短所どちらに当てはまるんでしょう。

 


負けず嫌いの人は闘争心が強いという言い方もできます。

闘争心が強い人は、向上心が強く、逆境に強いとも言えるので、こう考えると負けず嫌いな人は、すごくやる気があり、頼りになる存在とも言えます。

 


では、負けず嫌いは長所でしょうか。

今日はそのことについて考えたことを綴っていきます。

 

*


パンダが人間関係で上手くいかない最大の理由の一つが最近判明した。

「あなた負け顔できないわよね。」

「負け顔?なにそれ。」

「負け顔って言ったら、そのまま負け顔よ。自分の負けを認めるの。それが出来ずに意地張ってるでしょ。」

そう、パンダは負け顔ができない。

「そんなことないよ。私だって出来ないことたくさんあるし、完璧だと思ってないよ。だけどさ……」

「ほら、そうやってすぐ否定して、でもだってって言い訳して負けを認めないでしょ。」

いつも以上に直球で厳しい言葉を投げつけてくるセバスチャンにパンダは驚く。

「自分ではやっちゃったって思っても、その事実を受け入れるのに強い抵抗があるのよね。自分には確固たる理由があるからこの行動は間違ってなかった、とか、そんなこと気にするなんて器が小さい、とか。自分の非を認める前に、言い訳したり、人のせいにしたり、そんなとこない?」

「た、確かに…そんなとこあるかも…。」

パンダにとって今言われていることは、全て耳がちぎれそうなくらい痛く響き、そして、言い訳のしようもないくらい図星だった。

「あと、負け顔ができないから、自分でなんとかしようと思うし、誰かを頼ろうって言う思考にも至らないのよね。」

セバスチャンからの更なるダメ出しにぐうの音もでないパンダ。

「それって結局自分の首絞めてるだけよ。誰かのせいにするのは簡単だし楽だけど、それじゃ井の中の蛙よ。視野が狭すぎるのよ。それに甘え方を知らないのも問題ね。甘え上手と甘ったれは違うのよ。」

「じゃあ、どうすればいい?」

パンダからの問いかけにセバスチャンは少し考えたあとこう答えてくれた。

「そうね、まずは相手に何がなんでも勝とうとしないこと。皆あなたより経験を積んできてるんだから、未経験のあなたが無理やり勝とうとしてもボコボコにされるだけよ。少なくとも、自分がちゃんとできるようになるまでは勝とうとしない。負けを認めるの。何かに困った時もそう。困ったり、戸惑ったりしたら負けを認めてヒントを求めにいくの。クイズ大会じゃないんだから、ヒントを聞ける回数は無限にあるわけだし。これができなかったら本当の負け犬になるわよ。」

ズバリと言われたパンダは大きくため息をついて、そのあと小さく笑った。

「セバスチャンの言う通りだよ。本当負け顔してなかった。」

「素直に負けを認めた方が可愛いわよ。今のあなたすごくキュートよ。」

 

*

 

ではここで、最初の疑問の私なりの答えを出しましょう。

負けず嫌いという性質は、自分自身に対してのみ発揮すれば長所です。

仕事相手、特に先輩や上司に対しては無闇矢鱈に発揮するととんでもない短所です。

 


もちろん負け顔をするには勇気がいります。

負け顔をしたくても、プライドや自分への自信が邪魔をするので、もしかしたら勝ち顔をするより難しいことです。

 


でも、人生ずっと勝ち続けることなんてありません。

最近の少年漫画でさえ、主人公の負けから始まったり、大事な場面で敗退するのがお決まりのパターンになってきています。

 


失敗は成功のもと、なんて昔の人はよく言ったもので、失敗を経験しないことには、成功も経験できません。

でも、その失敗は失敗したと自分で認めないと経験できません。

 


参りました。

その一言を言えた時、ずっとのしかかっていた肩の荷が降りるかもしれません。