泣き虫パンダと慰め役のセバスチャン

不器用な新人社会人が世の中を生き抜くための処世術

魔法のコンパクト

実は私、メイクが大好きです。

どのくらい好きかと言うと、芸能人がしてるメイクを研究して、その研究レポートを作って、自分のメイクに取り入れる。

 


なんてことをよくやるくらいには大好きです。

 


そんな私がどうしてメイクがそんなに好きになったのか、改めて考えてみて思ったことを綴っていこうと思います。

 

*


amazon primeおジャ魔女ドレミを見返しているパンダ。

「マジカルステッキや、ドレミタップってどうやったら手に入るんだろう。よし、こっそり潜んでる魔女でも探しにいくか。」

「一応聞いておくけど、冗談よね?」

「やっぱり魔法を自由自在に操れるってかなり夢があるよねー。」

「あなた今いくつだっけ?」

23歳、もうすぐ24歳になります。

「もう、冗談に決まってるでしょ!いいじゃない、別に。魔法の力を使えば何者にでもなれるんだよ。いいなーと思ってさ。」

能天気なトーンの中に、ささやかな闇が混じったその一言を聞いて、セバスチャンは、ああ、きっとこの子は今の現状の自分に満足してない劣等感で、そんな現実逃避をしたんだろうな、と察する。

「魔法のコンパクトは永遠の憧れだよねー。」

「あら?それはもうすでに持ってるじゃない?」

「それは、…またどう言うことでしょうか?」

キョトンと聞き返すパンダにニコリと微笑み返すセバスチャン。

「じゃあ、あなたがメイクにハマったきっかけを思い出してごらんなさいよ。」

そう言われたパンダは、メイク?いきなり?となりながらも、言われたように自分がメイクにハマった当初のことを思い出した。

「そうね。もともとメイクってそんなに興味なかったの。やり方もよくわかんないし、看護師なんてマスクで顔隠れるから一緒だろうと思ってたしね。でも、そんな時センラさんに出会って。男性の歌い手さんなんだけどね、センラさんってメイクしてない時と、してる時全然顔が違うの。どっちもカッコいいんだけどね。でも、メイクしてない時のセンラさんは、ただのサラリーマンって感じなのに、メイクすると途端にキラキラして、みんなを魅了するアーティスト誕生!って感じでさ。そこにめちゃくちゃ憧れたんだよね。ああ、私もこうなりたい!って。当時20歳の私は、そこからセンラさんのメイクに関するいろんな情報を片っ端から集めて、分からないところは写真を見て似たようなコスメを探したり、自分なりにメイクの仕方を研究したり。そう!まずはアイシャドウからだったの。同じようなMACの赤シャドウ買って、同じようにメイクしてみて。あの時は、ちょっとセンラさんに近づけた気がして嬉しかったなー。」

「それで、もっと憧れの人に近づきたいって一心で、どんどんメイクにのめり込んだんでしょ?」

「うん。とにかく自撮り写真が上がる度に保存して、拡大して、穴が焦げるくらい隅々まで見て。あ、アイシャドウをこうやってグラデにしたらいいのか、アイラインはこの色でこんな感じで引けばいいのか、眉毛はこんな形とか観察したことをメモに書いて研究記事なんて言い張って。ハハハ、変態だよね。でもそのぐらい好きったし、今でも好きだよ。それで、自分で考えた、自分なりのセンラさんメイクを自分にした時の喜びと言ったら。その時、やっと自分のなりたい人になれたって思ったよ。」

どんどん晴れやかになっていくパンダの横顔を見て、セバスチャンはそれそれ!と言わんばかりに大きく頷く。

「そっか。そう考えるとメイクってなりたい自分になれる魔法なのかも。」

「そうよ。あなたは魔法のコンパクトをすでに持ってるの。」

 

*


私がメイクって面白いなーって思うところは、少し色味を変えたり、2、3ミリラインの引き方を変えただけで随分と印象が変わってくることです。

 


清楚で落ち着いた雰囲気、強気でカッコいい雰囲気、可愛らしく愛らしい雰囲気、個性的で世界観のある雰囲気…。

やり方さえ分かっていれば、今挙げたどんな雰囲気でも纏うこともできます。

 


私のように、大好きな憧れの人に近づくことだってできます。

 


さらに今の時代、女性だけでなく男性もメイクする時代です。

実際私は、男性のセンラさんのメイクに憧れてメイクを始めたわけですし。

 


ということは、誰だって自分に魔法をかけることができるのです。

 


なりたい自分になることができる魔法を。