泣き虫パンダと慰め役のセバスチャン

不器用な新人社会人が世の中を生き抜くための処世術

南南東をむいて。

鬼は外、福は内。

節分である今日、仕事帰りに恵方巻きを買いに行ったら見事売り切れてたので、ケーキ屋さんで恵方ロールを買って1人南南東を向いて黙って食べました。

 

これで我が家の悪は打ち消せた模様です。

 

ちなみに、節分というのは“季節を分ける”という意味でこれから来る春にむけて、みんなが健康で幸せに過ごせるようにという意味で行われてる行事のよう。

 

今日はそんな春に向けてのお話です。

 

*

 

暦上では明日から春である本日節分の2/2。

仕事から帰ってきたパンダはこんなことを思う。

「私の春はいつ来るんですか?」

無論青春の春である。

高校時代をろくに過ごしてこなかったが故に、失った青春を取り戻す!が人生のモットーのパンダに“青春は10代のもの”という言葉を投げかけるのは、どうにもやめてあげていただきたい。

「毎日仕事と家の往復。コロ助のせいで出歩けないのは仕方ないんだけど、なんだかこのままおばあちゃんになって寂しく死んでいくのかと思ったら切ない。」

「未来への漠然とした寂しさを感じるほど、人肌恋しいのね。」

青春=恋ではないと思うが、恋をすることから自分の青春を取り戻したいと思ってる今のパンダ。

なぜこれほどまでにパンダが恋にこだわってるかというと、職場の環境による影響が大きい。

「職場の人ほぼ結婚してるの。みんな。結婚指輪なんかしちゃってさ。子供もいてさ。みんな休みの理由子供の都合ばっかりなの。独身貴族なんて1人もいないんだよ。肩身狭いったらありゃしない。」

その言葉にははーん。とニヒルな笑いを浮かべるセバスチャン。

「それで焦っちゃてるわけねー。」

焦ってるわけではない、と言い返したいパンダであったが、半分図星なので言えるに言えなくなった。

「まぁ、気持ちは分かるけどね。周りが幸せそうだったら、無意識のうちに自分にはそんな相手がいないからって寂しくなる気持ち。」

「まぁ、今すぐ結婚したいわけじゃなくて、誰かを好意に想うってことを、ここ最近してないなーと思って。」

最近のパンダの胸キュンエピソードは、職場のイケメン上司に話しかけられる、である。

「そんなに慌てなくても、すぐに素敵な人が現れるはずよ。」

なんだか自信満々にそんなことを言うセバスチャンである。

「何を根拠に。」

「だってあなたの周りみんなそうなんでしょ?類は友を呼ぶっていうじゃない?」

なんだか説明が足りないようだが、つまりセバスチャンの言いたいことは、みんな幸せそうな既婚者ばかりの職場に行けたということは、自分もその類の人間である証拠で、だから結婚までは行かずとも、恋人ぐらいはすぐに出来るでしょ。ということだとパンダには理解できた。

「その論理飛躍しすぎだと思うけど。」

「そうかしら?朱に交われば赤く染まるとも言うわよ?」

なんだか今日のセバスチャンは諺を使うのが好きらしい。

「職場の人がみんな素敵な人に巡り会えてるから、あなたが素敵な人と巡り会うのは時間の問題だと、私は思うわよ。」

そうなのかなーとまだセバスチャンのいう言葉を咀嚼できてないパンダに、セバスチャンはこういう。

「そこまで自信がないなら神頼みね。今日は節分。福は内って願いを込めてみなさいな。」

そう言ってセバスチャンは恵方巻きならぬ、恵方ロールを取り出すように冷蔵庫の方を指さす。

馬鹿馬鹿しいと思ったものの、たまにはそんな子供騙しに頼っても悪くないかと、パンダは素直に冷蔵庫からそれを取り出し一切をお皿に乗せる。

「今年の方角は南南東よ。」

パンダはクーラーの方を向いて、黙ってロールケーキを食べた。

 

*

 

今年の方角を調べるに当たってSiriを起動させたら、優しく南南東だと教えてくれました。

 

こんな風に優しくわからないことを教えてくれる男性に出会えたらいいなと思う今日この頃。

 

誰かを好きだと思えることは素敵です。

誰かを好きだ言えることも素敵です。

 

自分もそんな素敵な女性になれますように。