泣き虫パンダと慰め役のセバスチャン

不器用な新人社会人が世の中を生き抜くための処世術

髪を切って過去を断ち切る

 


女の人がいきなり髪を切ったら、「あれ失恋したの?」なんて声をかけられるシチュエーションってなぜか定番になったましたよね。

 


彼氏がいるならまだ分かりますが、私は彼氏のかの字もない時に、バッサリと髪を切ったら「なに?フラれたの?」と職場の同僚に言われたことがあります。

 


私はどうも飽き性なので、同じ髪型という状態を保てないから、衝動的に切っただけなのですが、元々いない彼氏からフラれたという話でしばらく盛り上がってしまいました。まあ、面白かったし、楽しかったので結果オーライですね。

 


少し調べてみると、江戸時代に女性が出家をする時に、今までの思いを断ち切るために髪を切っていて、そこから髪を切る=失恋のイメージが令和の時代まで続いてるようです。

 


意外と歴史深いですね。

 


でもそう考えると、髪型を変えるという行為は、それだけ今までとは違った自分になるとも言えるのです。

 


今日は少し前のことを思い出しながら、そんな髪型を変えるという行為についてのお話をしていこうと思います。

 

*


パンダが前の職場を辞めて無職ニートになってから半月が過ぎ、新年が明けた頃、正月用のお餅をストーブで焼いてるパンダにセバスチャンが話しかける。

「今度美容室行く時って、カラーとトリートメントだけするの?」

「そのつもりだけど。」

アチチチチとお餅をひっくり返しながら答えるパンダに、セバスチャンはうーんと不服そうな声をあげる。

「別にそこまでプリンにもなってないし、カラーじゃなくてカットにしたら?」

今のパンダの髪の長さは胸につくかつかないかの髪の長さ。毛先はパサパサで、冬の乾燥や静電気でかなりダメージを受けているオリーブ色の髪の毛は、起きたばかりというのもあって、かなり寝癖がつき前髪も四方八方に飛んで大爆発している。

女子力のじょの字もない。

「やっぱり髪切った方がいいと思う?結構傷んでるもんね。」

「そうじゃなくて、今までの自分を断ち切るためにバッサリいったら?って意味。」

そう言ってセバスチャンは首のあたりを手でトントンと叩く。

つまり毛先を3センチだけ切って整えるくらいのカットではなく、思い切って結べないぐらいまでバッサリ行けという意味である。

「本気?」

「あなたに冗談言ってどうするの。」

そうだよねと言いながら、パンダはパサついた髪の毛を指先でクルクル弄ぶ。

「イメチェンするなら、髪切るのが1番手っ取り早いもんね。」

「そうこなくっちゃ。惰性で伸ばした髪の毛と一緒に、過去の自分を断ち切ってスッキリしましょう。」

 

*


そんなこんなで髪を切った私ですが、その髪を切ったときのエピソードはまた後々書くことにします。

 


結果的に髪を切ったことは大正解でした。

 


バッサリ切った自分の姿を鏡で見た時に、あ、私変わった。と自覚しました。

もちろん髪を10センチほど切ったわけですから“変わった”と思うのは当たり前ですが、そのときの“変わった”は単に見た目のことではなかったと今でも思います。

 


もちろんまだまだ出来てないところはありますし、日々反省の毎日です。

 


でも確実に言えるのは、ウジウジしていた過去の自分はもういません。

 


どうやらあのときの自覚は事実だったようですね。