泣き虫パンダと慰め役のセバスチャン

不器用な新人社会人が世の中を生き抜くための処世術

臆病者くらいが丁度いい

私には四つ下の妹がいて、すでに社会で働き始めています。

仮にこの妹の名前をシーちゃんとしますと、このシーちゃんはとてつもなく優秀で、若いながらも職場でかなりの成果を上げていて、上司、先輩、後輩からの信頼も厚いです。

 


無職の姉とキャリアウーマンの妹。

 


同じ両親から生まれた姉妹でありながら、こうも違うとは…。

 


そんなシーちゃんのことを姉である私は溺愛してるので、何かある度にシーちゃんのところに遊びに行ってます。

 


さて先日、シーちゃんは人生初出張から帰ってきました。

そんなシーちゃんとの話から気づいたことを綴っていきます。

 

*


妹のシーちゃんと別れ、駅で電車を待ってるパンダ。

「すごい褒められたんだって。出張先のチームのみんなともいい関係築けて、みんなに頼られて、凄いですねってさ。誇らしい妹だよ。」

「へー、よっぽど優秀なのね。」

「モチベーションもずいぶん上がったみたいで、生き生きしてたよ。」

自分のことのようにニコニコと話すパンダはどこか寂しそうだとセバスチャンは思った。

妹のことをすごいと思う反面、姉として今の現状を情けないとでも思ってるのだろう、と考える。

「でもさ、そんなに褒められてるのに、『なんでみんなそんなに言ってくれるんだろ。私なんて全然すごくないのに。』って言ってたの。その上『もっと努力しなきゃいけない!』って言ってて、スキルアップのために今度は検定の勉強まで始めて。普通そんなに褒められたら私ってすごいんだーってなりそうだけどね。私だったら、すぐ嬉しくなって、ニヤニヤが止まらないよ。」

「それで自信がついてすぐ調子乗るんでしょ?」

「むむむ…。否定できない。」

「まあ、自信を持つことは悪いことじゃないんだけどね。でも、仕事に対する姿勢は、臆病者くらいが丁度いいのよね。」

臆病者という言葉に眉を顰めるパンダ。

「臆病者って小心者で、怖がりな人ってことでしょ?ビクビクしながら仕事するってこと?」

「言ってしまえばそうよ。自分は周りの期待に応えることが出来ているのか、頼まれた仕事に対して自分の実力は足りているのか、そうやって自分を疑うの。そしたら、本当に今の自分で大丈夫かなって不安になるでしょ。不安になったら、その不安を解消するために考えて、考えたことを行動に移すはずよ。その一つ一つの思考、行動が努力となり、努力が積み重なって実力になるの。」

「なるほど。」

セバスチャンの言葉は今まで、自分に自信を持つことが何よりも大切と思ってたパンダに180度違う世界を見せてくれた。

「卑屈になる必要はないけど、変に自信がついて天狗になるぐらいなら、臆病者でいたほうがずっといいわ。」

 

*


さて一つ、ここで皆さんと一緒に考えてみたいことがあります。

 


あなたが今から仕事を誰かと一緒に行う時、仕事に対して自信がある人と、自信があまりない人どちらと一緒に仕事を組みたいですか?

答えは、前者ではないですか?

 


では、少し情報を付け足しましょう。

実力が足りてないのに自信がある人と、実力は十分にあるのに自信があまりない人、どっちと組みたいですか?

 


今度は後者ではないですか?

 


自信は過剰に投与すると、自分自身を苦しめる強力な毒になります。

 


自分自身の毒で苦しむなんて大変馬鹿らしいことですが、意外と苦しんでる人は沢山います。

 


私もそうでした。

 


その毒を抜く方法は、くだらないプライドや誇りは捨てて、謙虚に過ごし、最悪なケースをシミュレーションし、それが起きても怖くないように対策を練ることです。

 


私は全然すごくない。

 


この言葉がきっと、私を大きく成長させてくれるはずです。