良いニュースと悪いニュース
良いニュースと悪いニュースどっちから聞きたい?
いっぺんに頼むよ。俺はせっかちなんだ。
このセリフは、ラーメンズの『条例』というコントの中に出てきます。
ラーメンズは、私が人生で1番最初に好きになったお笑い芸人さんで、特に小林賢太郎さんが大好きだったので、引退のニュースが目に飛び込んできた時は、なんだか私の思い出の一部が無くなった気がしてちょっぴり寂しい気持ちになりました。
千葉滋賀佐賀!は、お腹を抱えて笑っていたなー。
おっと、そんな思い出話に花を咲かせるのは後にして、冒頭の良いニュースと悪いニュース、もし、あなたはどちらから聞きたいですか?もしくは、どちらから話しますか?
今日はその順番に関するお話を綴っていきます。
*
職場の検診の時期がきて、昼休み鬼瓦先輩がパンダにこんなことを言ってきた。
『職員検診の採血はパンダさんにやってもらうことにしたから。』
問答無用で、はい、分かりました。と頷くパンダであったが若干の不安が残るパンダ。
病院の職員検診の採血は、練習のために新人看護師がするのが暗黙のルールとなっている。
新人であるパンダにその役目が回ってくるのは当たり前といえば、当たり前だ。
「採血そんなに苦手なの?普通に出来てたじゃない?」
「出来るよ。そりゃたまには失敗することもあるけど、前の病院でも普通にしてたし、前に採血見てもらった時も出来たの。でもその時見てもらったら先輩が鬼瓦先輩でさ、出来てるけど、やれ持ち方がなってないだの、スピッツの出し入れの仕方が下手くそだのボロクソ言われてちょっとトラウマというか…。」
「さすが鬼瓦先輩…。」
そんな感じで若干のモヤモヤを心の中に残したまま、パンダは仕事に戻っていった。
そして職員検診の採血、結果としていうと10人中8人の採血に成功した。
さらに、一緒に見てた先輩4人中1人の先輩には、もう少し固定のやり方を工夫してみてとの指摘を受けたが、3人の先輩には、十分に出来ているとの評価を得ることができた。
そのことを鬼瓦先輩に報告するパンダ。
この報告を受けてから鬼瓦先輩が判断し、今後パンダが一人で採血を実施して良いかどうかが決定する。
「それで結果はどうだったの?」
「ダメだった。」
「え?」
なんと結果は、まだ見守り下での実施。
この結果には流石のセバスチャンも驚きを隠せない。
「どうやって報告したの?」
「大体はうまく出来たんですけど、2人失敗しました。誰々さんと誰々さんと誰々さんにはうまく出来てるって言われましたが、誰々さんからは固定のことで指摘を受けました。って言った。」
この答えを聞いてセバスチャンは「なるほど、報告の仕方に問題があったわけね。」とパンダに伝える。
「ところで、あなた良いニュースと悪いニュースどっちから聞く派?」
「え、まあ強いて言うなら悪いニュースから聞いて、後から良いニュースかな。嫌なことは先に終わらせて、最後には良い気持ちで終わりたいタイプ。」
「そうでしょ?いくら前に悪い情報が入ってきても、後が良ければ良い気分で終わる可能性の方が高かったわよね。」
うん。と頷くパンダ。
「でも、報告する時は出来たことから伝えて、後から出来てなかったことを報告したの?」
ハッとするパンダ。
「…出来てないって印象を最後に与えちゃったってことか。」
「多分そうでしょうね。まぁ、普通だったらそこまで気にしなくても良いかもしれないけど、例の鬼瓦先輩だからね。成功のための作戦は立てておくべきだったわ。」
あちゃーやっちゃったーと項垂れるパンダ。
「伝え方の問題だったなんて…。」
「100%そうとはもちろん言い切れないけどね。でも、2人だけ失敗して、それはここを注意したら良いって言われました。でも、それを意識して後の8人は成功して、3人の先輩に見てもらったらみんなできてると言ってくれました。って報告してたほうが、合格をもらえる可能性は高まったはず。」
まぁ次から意識したら良いわと慰めてくれるセバスチャンにパンダはうんうんと頷いてはぁとため息をこぼすのであった。
*
良いニュースを後に持ってくると良い。
これは有名な心理学効果でピークエンドの法則という心理効果が働いているためです。
ピークエンドとは、最も感情が動いた時をピーク、物事の終わりをエンドとした場合、ピークとエンドの印象で物事全体の印象が決定するという現象です。
同じ内容なのに、言い方の順番次第で印象が全然違うなんて不思議な現象ですが、これをやるとやらないとでは人生が大きく変わってきます。
終わりよければすべてよし。
とっておきの楽しみは後に取っておきましょう。