泣き虫のパンダ
泣き虫パンダのそばには慰め役のセバスチャンがいる。
辛い、しんどい、出来ない、上手くいかない…不器用で泣き虫で情けないパンダがこのまま消えてしまいたいと願った時彼は突然ふと現れた。
「誰?」
「セバスチャン・ライト。あなたの慰め役。」
さも当然かの様に言い放った彼は、それ以来いつもパンダのことを見守ってくれている。
長身で眼鏡をかけた美青年の彼は、パンダが極度の緊張感に溺れそうな時決まって声をかけてくる。
「緊張しすぎ、今うまくできてるんだから落ち着きなさい。」
彼はそれはそれは麗しい美青年であるものの、口調はオネエのそれ。
そのアンバランスさに思わず強張ってた頬が緩む。
フッとした笑いが緊張感がだんだんと薄めてくれる。
「何笑ってんの!気を抜くと失敗するわよ。。」
「分かってるよ、セバスチャン。」
こんなやり取りによってパンダの精神はいつのまにか保たれるようになった。
「あんた自分を自分で追い詰める癖、なんとかしなさいよ。」
世の中には理不尽なことで溢れかえってる。
世間の常識が、自分の価値観とは程遠いことなんてざらにある。
それに順応して生きていくのが普通の人間だとすれば、パンダにはそれが苦行で仕方がなかった。
だからセバスチャンは現れた。
パンダがこれからも生きていけるように。
今日も嫌な自分に対峙して涙が出そう。
「大丈夫。今悩んでることは大したことじゃない。死にはしないから元気出しなさい。」
そんな泣き虫パンダには慰め役のセバスチャンがいる。